アルテカは超高級マンションシリーズで知られる不動産総合商社で、日本で初めて1室1億円を超えるいわゆる億ションを開発した会社としても有名です。同社の代表を務め、億ションブームの火付け役ともなった野村紘一さんは、1975年にアルテカを創業してから現在まで第一線で活躍を続ける日本を代表する経営者の1人です。
野村紘一さんの経営戦略は、その柔軟な発想とそれを支える先見の明によって成り立っていると言うことができます。日本で初めての超高級マンション開発という事業を、アルテカを創業した年に行っている点からも、常識にとらわれない柔軟な発想を見ることができ、さらに同業者の多くがそんな価格のマンションが売れるわけがないと思っていたのに反して好調な売れ行きを見せ、後に他社も追随する億ションブームを巻き起こした点からその高い先見の明を見て取ることができます。
野村紘一さんは超高級マンションの開発にこだわったわけではなく、当時の日本の状況を冷静に分析し、高度経済成長によって各家庭の生活の質が向上し、人々の暮らしが便利になったことから、次に消費者が目を向けるのは住環境の充実であると考えて、高い付加価値を追求した物件を開発しようとした結果が超高級マンションであったに過ぎません。その後同じように高価格帯のマンションを開発することになった同業他社に対しても、開発現場等を惜しげもなく見せていたのも、単なる高級志向ではなく消費者のニーズに合わせた付加価値の実現と言う方針を持って、同じ形のものは二度と作らないという点を徹底していたアルテカならではのエピソードと言うことができます。
この柔軟な経営戦略が、バブルの崩壊によって不動産業界が大打撃を受ける中でも、アルテカが堅調な経営を進めることができた要因の1つになっています。現在では高級志向とは違う新たな消費者のニーズに合わせた新しい物件の開発を進めるなど、その経営手腕は衰えることを知りません。
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